発行元:株式会社CWM総合経営研究所(経営革新等支援機関)
テーマ1.「『経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)』制度内容の改正に要注意!」
■ 経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは ━━━━━・・・・・‥‥‥………
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先事業者が倒産した際に、
中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
節税を目的として、短期間で脱退・再加入を繰り返す事例が増えているため、
対応として令和6年度税制改正大綱で閣議決定が行なわれました。
■ 経営セーフティ共済の詳細 ━━━━━・・・・・‥‥‥………
取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。
「もしも」のときの資金調達手段として当面の資金繰りをバックアップします。
無担保・無保証人で掛金の最高10倍(上限8,000万円)まで借入れでき、
掛金は損金または必要経費に算入できます。
<共済金の借入れが受けられる取引先の倒産>
・法的整理
・取引停止処分
・でんさいネットの取引停止処分
・私的整理
・災害による不渡り
・災害によるでんさいの支払不能
・特定非常災害による支払不能
<共済金の借入れが受けられない取引先の倒産>
・夜逃げ
■ 4つのメリット ━━━━━・・・・・‥‥‥………
(1)無担保・無保証人で、掛金の10倍まで借入れ可能
(2)取引先が倒産後、借入れできる
(3)掛金を損金、または必要経費に算入できる
(4)解約手当金が受けとれる
<制度改正の理由>
節税を目的として、短期間で脱退・再加入を繰り返す事例が増えているため、制度改正に!
■ CHECK!2024年10月からの改正ポイント ━━━━━・・・・・‥‥‥………
令和6年10月1日以後、共済契約の解除があった後、再度契約を締結した場合には、
その解除の日から同日以後2年を経過する日までの間に支出する
当該共済契約に係る掛金については、損金(法人)・必要経費(個人)算入ができない。
【改正イメージ】
加入から解約の間:損金算入可能となる期間(1回目)
解約後2年間:再加入は可能だが損金算入できない期間
解約後2年目以降:損金算入可能となる期間(2回目)
■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………
脱退・再加入は、積立額の変動で貸付可能額も変動するため、中小企業庁は「連鎖倒産への
備えが不安定となるため、本来の制度利用に基づく行動ではない」と指摘しています。
安定的な制度継続の為にも、正しい目的での利用をしましょう!
⇒【2024年11月号①】経営セーフティ共済.pdf
テーマ2.「仕事のスキルアップ・資格取得をめざす方へ『教育訓練給付金』が拡充!」
■ 教育訓練給付制度とは ━━━━━・・・・・‥‥‥………
教育訓練給付制度は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し雇用の安定と
就職の促進を図ることを目的として教育訓練の受講費用の一部が支給されるものです。
このたび厚生労働大臣が指定する「特定一般教育訓練」及び「専門実践教育訓練」
の受講を令和6年10月1日以降に開始する方について、
教育訓練給付金の給付率を引き上げる改正を行いました。
■ メリット ━━━━━・・・・・‥‥‥………
企業イメージや社会的信頼性が高まり、競争力の強化が期待できます。
また、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、
結果的に業績向上にも繋がります。
■ 教育訓練給付制度 ━━━━━・・・・・‥‥‥………
給付金の対象となる教育訓練は、そのレベル等に応じて、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、
一般教育訓練の3種類があります。受給要件は厚生労働省HPをご確認ください。
■ 制度の概要 ━━━━━・・・・・‥‥‥………
1. 教育訓練給付の支給を受けるまでの流れ
<受給の要件を満たす方>
(1)ハローワークに受給資格確認
※受給資格確認は、専門実践教育訓練又は特定一般教育訓練を受講する場合に必要な手続きです
(2)厚生労働大臣の指定を受けた講座を受講・修了(費用を自ら負担)
(3)ハローワークに支給申請
<ハローワーク>
(4)受給の要件を満たす方に給付金の支給
2. 教育訓練給付の講座指定を受けるまでの流れ
(1)指定基準を満たす講座を有する教育訓練施設が厚生労働省委託申請窓口に指定申請をする
(2)厚生労働省委託申請窓口が教育訓練施設を調査する
(3)厚生労働省が審査を行う
(4)厚生労働省が指定基準を満たす講座を有する
教育訓練施設を教育訓練給付の対象講座として指定する
※厚生労働省HP「教育訓練給付制度」より引用
■ CHECK!給付支給額 ━━━━━・・・・・‥‥‥………
【専門実践教育訓練給付金】
◎対象訓練
中長期的キャリア形成に資する教育訓練
◎給付支給額
<令和6年9月30日以前に受講を開始する方>
教育訓練経費の50%(年間上限40万円)を受講開始日から6か月ごとに支給します。
さらに、資格取得・就職した場合は、追加で教育訓練経費の20%(年間上限16万円)を支給。
<令和6年10月1日以降に受講を開始する方>
上記の資格取得・就職に加えて、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して
5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の10%(年間上限8万円)を追加で支給。
給付率を70%→最大80%に引き上げ(年間上限64万円)
【特定一般教育訓練給付金】
◎対象訓練
再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練
◎給付支給額
<令和6年9月30日以前に受講を開始する方>
教育訓練経費の40%(年間上限20万円)を訓練修了後に支給。
<令和6年10月1日以降に受講を開始する方>
上記に加えて、資格取得・就職した場合、教育訓練経費の10%(年間上限5万円)を追加で支給。
給付率を40%→最大50%に引き上げ(年間上限25万円)
【一般教育訓練】
◎対象訓練
雇用の安定・就職の促進に資する教育訓練
◎給付支給額
教育訓練経費の20%(上限10万円)を訓練修了後に支給。
■ さいごに ━━━━━・・・・・‥‥‥………
経済的負担を抑えながら技術革新やビジネスモデルの変化に対応したり、リスキリングに
取組むことが可能になりますので、この機会にチャレンジされてみてはいかがでしょうか。
⇒【2024年11月号②】教育訓練給付金.pdf