2025年12月26日に閣議決定された『令和8年度税制改正大綱』では、
個人の税負担や将来の財産承継に直結する重要な見直しが行われました。
今回は、日々の家計に関わる「控除の拡充」と、今後の相続対策に大きな影響を与える「贈与ルールの変更」について解説します。
1.物価高と「年収の壁」に対応した控除の拡充
今回の改正では、物価上昇や「年収の壁」問題への対応として、
個人の税負担を軽減する措置が盛り込まれました。
基礎控除の引き上げ
合計所得金額が2,350万円以下の個人を対象に、所得税の基礎控除額が4万円引き上げられます。
給与所得控除の拡充
給与所得控除の最低保障額が65万円から69万円へと引き上げられ、パートやアルバイトなどの層への配慮がなされています。
さらに、合計所得金額が655万円以下の場合は、令和8年および令和9年に限り、控除額が上乗せされる特例的な加算措置(最大42万円)も設けられています。
2.要注意!「教育資金の一括贈与」が令和8年3月で終了へ
相続や贈与を検討されている方にとって最大のニュースが、
「教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置」の終了です。
この制度は、親や祖父母から子・孫に対して教育資金を一括で贈与した場合、1人当たり最大1,500万円までが非課税になるというもので、長年有効な相続対策として利用されてきました。
しかし、これまで何度か延長されてきた適用期限が今回は延長されず、令和8年(2026年)3月31日をもって予定通り終了することになりました。
現在この制度を前提に生前対策を考えているご家庭は、早急な見直しが必要です。
3.新たな選択肢「ジュニアNISA」の実質的な復活
教育資金の非課税贈与が終わる一方で、将来世代の資産形成を後押しする目的から、
NISA制度の拡充が行われます。
未成年者のNISA利用(実質的なジュニアNISAの復活)
今回の改正により、つみたて投資枠の対象年齢が「0〜17歳」に広がり、未成年者でも制度を利用できるようになります(実質的なジュニアNISAの復活)。
年間投資枠:60万円
非課税保有限度額:600万円
親や祖父母が、子や孫名義の口座で長期・分散投資を行い、将来の資金を計画的に準備するための新しい選択肢となります。
まとめ・支援の形は「非課税贈与」から「資産形成」へ
今回の税制改正大綱から読み取れるのは、国の政策の軸足が、1,500万円といったまとまった資金の「非課税での移転」から、
NISAを活用した「長期的な資産形成の支援」へとシフトしているという点です。
制度の終了が迫る中、今後は時間を味方につけた計画的な資産移転や、これまでに解説してきた「家族信託」「遺言書」などを組み合わせた多角的な相続対策がより一層重要になってきます。
※この記事の内容は1月末時点の大綱に基づいたものであり、税制改正の正式決定は3月以降となります。
