「自利利他円満」の道理を貫く
■ 「自利利他円満」とは

「自利利他円満」とは仏教の言葉で「自分の幸せ(利益)が他人の幸せ(利益)にもつながり、他人の幸せ(利益)が自分の幸せ(利益)にもなる、お互いに幸せになり喜び合える世界」を意味しています。この道理は、家庭生活でも、ビジネスの世界でも通用する教えであると思います。
曹洞宗の開祖・道元禅師は、「自利利他円満」をその書『正法眼蔵』から重要な点を抜粋し、まとめた『修証義』で、「利行は一法なり、普く自他を利するなり」と解釈しました。つまり、他者の利益になることが同時に自らの利益になることであり、自らの利益になることが同時に他者の利益になることを説いているのです。このように、「自利利他円満」は自利と利他が、一如(一体)である調和のとれた穏やかな円満な状態を道理として示しているのです。
■ 「自利利他円満」の道理が大切な理由(わけ)
1、 時代の要請に応える必要があるから
時代の価値観が大きく転換する中で、永続的発展を遂げるには、経営資源としての〈意識〉を最重要視する必要があります。何故ならば、その〈意識〉が人・物・金・情報などの経営
資源をコントロールしているからなのです。従って、「自利利他円満」の道理を貫き、時代の要請に応えるためには、〈意識〉(=心・考え方)の水準を高めていくことが、必要不可欠と
なってきているのです。
2、 「他を利する」ところにビジネスの根本があるから
江戸中期の思想家・石田梅岩は、「まことの商人は、先も立ち、われも立つことを思うなり」の言葉を残しています。要するに、世のため、人のためにという「他を利する」利他の精神で、相手にも自分にも利があるようにするのが商い(事業)の極意であると説いているのです。
正に、そこに「自利利他円満」をベースに誰から見ても正しい方法で利益を産み出す道理が
示されているのです。
3、 物事の正しい判断基準となるから
人として行う正しい道、物事のそうあるべき道筋である「自利利他円満」の道理を判断基準として行動することが、今の時代、強く求められています。
つまり、より良い仕事をしていくためには、自分のことだけを考えて判断するのではなく、周りの人のことを考え、思い遣りに満ちた「自利利他円満」の道理を弁(わきま)えた基準で判断を
下す必要があるのです。
■ 「自利利他円満」の道理の活かし方(より広い視点から物事を見る)

自利と利他は、相反する関係ではなく、いつも裏腹の関係にあるのです。従って、小さな単位における利他は、より大きな単位から見ると自利(利己)に転じてしまうため大きな単位で思いと行いを相対化して見極める必要があるのです。
例えば、営業担当者は製造部門の仲間のために仕事を受注し、製造担当者は、営業部門の仲間のためにお客様との約束が守れるよう製造し、納品する。両者が「仲間のために」、さらに「お客様のために」というより広い視点の共通認識に立った時「自利利他円満」の職場環境になるのです。
そして、それが会社のため、お客様のため、社会のため、国のため等々とより大きな単位の中での“自分の仕事”と気付く(自己覚知する)ことにより、より広い視点から物事を見る目を養うことが出来るようなるのです。