歯周病治療に「実感」を! 行動変容に繋げる新システム

2025年 11月 27日

■ ■ 「改善した」とその場で実感できる


 歯周病治療において、患者が「良くなった」と実感する瞬間は、セルフケアや定期受診へのモチベーションを高める重要な契機となります。 近年、全国の歯科医院で導入が進む「ブルーラジカル」は、非侵襲的な処置でありながら、施術直後に患者が効果を体感しやすく、「モチベーションツール」として注目されています。
 開発された歯周病治療の新技術であるブルーラジカル。導入費用は数百万円と、決して安いとは言えない金額で、必ず所定のセミナーを受講しないと販売してもらえない仕組みにも関わらず、全国の歯科医師から申し込みが殺到しています。ブルーラジカルは、細いチップの先から超音波振動に加え、過酸化水素(3%)と青色光(405nm)を出して歯周ポケット内を殺菌する機序で、主として中等度以上の歯周病に用いられます。
 ブルーラジカルの臨床に詳しい日本歯周病学会歯周病専門医の帆足公人氏(東京都開業)によると、歯科医院経営にとってブルーラジカルが画期的とされるのは、施術された患者さんの多くが「症状が改善した」と実感できる点とのこと。歯周病は相当進行しても痛みがない場合も多く、自覚症状があまりないことから「サイレント・ディジーズ」と呼ばれますが、逆に言えば、病態が改善するのも通常は実感しにくいのです。
 過去、海外で開発された類似の治療法として、トルイジンブルーという色素を塗布した歯周組織に特定の波長の光を当てる光力学治療がありましたが、日本ではほとんど普及しませんでした。普及しなかった理由の一つが、「良くなったという実感を得にくい」というものだったようです。トルイジンブルーによる治療の症例報告を読んでも、「多少、口腔内写真で炎症の抑制が見られたように思える」「ポケット内の細菌が減ったから症状が改善したと解釈できる」といった内容が多かったとされています。
 歯周病の治療は、歯石やプラークを除去、歯みがき指導などの他、抗生物質軟膏の塗布など、同時にさまざまな介入がなされるため、「これが効いた」と判別することが難しい面もあります。そういう中にあって、患者さんがその場で効果を実感できるブルーラジカルが注目されているのです。

■ 良くなった感じをスタートラインに

 患者さんが効果を実感できることと、実際に治るということは別ものです。そのため、ブルーラジカルだけで歯周病が治るとは、開発者も関連機器メーカーも謳っていません。それよりも、ブルーラジカルで効果を実感した患者さんが、セルフケアを励行し、定期受診のモチベーションを維持してくれることを重視。ブルーラジカルと「ペリミル」というアプリを組み合わせて、患者さんと歯科医院とのコミュニケーションの向上を目指しています。
 歯科医院で「良くなった感じ」を味わってもらい、それを出発点として、セルフケアのモチベーションに繋げる方法は、以前から行われてきました。10年ほど前、それまで手用歯ブラシを使いにくい障害者向けの特殊アイテムだった電動歯ブラシが一般向けにも市場を拡大。それに合わせ、電動歯ブラシで歯面のプラークを徹底的に除去し、ツルツルになった状態を味わってもらって、「この状態をスタートラインとして、これから頑張りましょう」と指導する歯科医院が増えました。電動歯ブラシという新しい器材をモチベーションツールとして活用した、ということです。
 その後、「使用法によっては、かえって歯と歯肉を傷めるリスクがあり、万人向けに推奨されるものではない」との認識が定着してきましたが、現在もモチベーションツールとして活用されています。
 同じことがブルーラジカルでも言えるようです。施術後の良くなった感じをスタートラインとして、次回のアポイントまで、その状態を維持する流れを作ることが重視されているのです。「治療しっぱなし」ではなく、患者さんと定期的につながり続けるシステムが、歯周病の治療と管理には不可欠だということでしょう。

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