相続が発生した際、「遺言書があるから安心」と思っていませんか?
実は、遺言書の有無にかかわらず
相続税の申告には注意すべきポイントがいくつもあります。
特に、遺言書の内容と税務処理の整合性が取れていないと、思わぬ課税リスクや手続き上のトラブルが生じることも。
この記事では、一般の方にもわかりやすく、「遺言書がある場合の相続税申告の注意点」を専門家の視点から詳しく解説していきます。
そもそも遺言書があると何が変わるの?
遺言書は、被相続人(亡くなった方)の財産の分け方を指定する法的文書です。
相続人同士で話し合う「遺産分割協議」を省略できるため、トラブル防止に大きな効果があります。
しかし、遺言書の内容=税務処理の正解とは限りません。相続税の計算や申告の観点からは、形式面や法的効力、相続人の納得度などを慎重に確認する必要があります。
注意点1:遺言書の種類によって扱いが異なる
遺言書には主に次の3種類があります。
| 遺言の種類 | 法的効力 | 税務処理上のポイント |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 家庭裁判所の検認が必要 | 申告期限に間に合うよう検認を急ぐ必要あり |
| 公正証書遺言 | 検認不要。証明力が高い | トラブルになりにくく、申告処理がスムーズ |
| 秘密証書遺言 | 検認が必要 | 内容が不明確だと税務申告に支障が出る場合も |
公正証書遺言であれば申告実務はスムーズですが、それ以外は検認手続きが完了するまで財産分割ができないこともあるため、相続税の申告期限(10ヶ月)に間に合わないリスクに注意です。
注意点2:遺言と実際の遺産分割が異なると申告が複雑に
「遺言の内容通りに相続しない」ことも実際にはよくあります。たとえば、
- 相続人全員が同意し、遺言と異なる遺産分割を選ぶ
- 遺贈先が放棄して実質的に別の相続人が取得する
こうした場合、遺言と実際の分割内容に相違があることを税務署に説明する必要があります。

また、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの各種特例の適用にも影響が出ることがあるため、税理士による確認が必須です。
注意点3:遺贈先が相続人でない場合は課税関係が変わる
遺言書により、相続人以外(例:内縁の妻、知人、法人など)に財産を遺贈するケースでは、以下の注意点があります。
- 法定相続人でないため、基礎控除額や非課税枠の対象外
- 2割加算の対象になる(相続人以外は税額が2割増)
相続税の申告・納税に大きく影響するため、遺贈対象者が誰か、遺贈の方法は何かを正確に把握し、申告内容を適切に設計する必要があります。
よくある質問(Q&A)

Q1. 遺言書があると相続税の申告は不要になりますか?
いいえ。
遺言書の有無に関係なく、相続税の課税対象となる財産総額が基礎控除額を超えていれば、申告は必要です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
Q2. 遺言書通りに分けたけど、あとから相続人が異議を唱えたら?
相続人には遺留分(最低限の取り分)が認められており、それを侵害された場合は「遺留分侵害額請求」が可能です。
これは税務上の申告額にも影響を及ぼすため、早めの専門家相談をおすすめします。
Q3. 遺贈された人が税金を払わない場合はどうなる?
相続税は「各人ごとの納税義務」があるため、本人が支払う義務を負います。
ただし、連帯納付義務が生じる場合もあるため、税理士によるチェックが重要です。
用語解説(はじめての方へ)
| 用語 | 解説 |
|---|---|
| 遺言書 (ゆいごんしょ) |
被相続人が、財産の分け方や意思を明確に記した文書。 |
| 検認 (けんにん) |
自筆証書遺言などの有効性を家庭裁判所が確認する手続き。 |
| 相続税申告 | 相続が発生した際、財産額が一定を超えると必要になる税務手続き。 |
| 遺留分 (いりゅうぶん) |
法定相続人に最低限保障される取り分。遺言で無視するとトラブルになる可能性あり。 |
| 遺贈 (いぞう) |
相続人以外の第三者に財産を遺言で与えること。 |
| 2割加算 | 法定相続人以外が財産を取得した場合に適用される相続税の加算制度。法定相続人だとしても、兄弟姉妹が相続する場合は適用される。 |
遺言書は相続のトラブル回避に非常に有効な手段です。
しかし、税務申告の場面では「税法上の要件・期限・特例の使い方」など、細かな専門判断が求められます。
特に以下のような方は、専門の税理士に一度ご相談ください。
- 遺言書の内容に不安がある
- 遺贈を含む財産分与がある
- 相続税の申告が必要かどうかわからない
- 遺留分トラブルの可能性がある
相続税のご相談は初回無料です
当事務所では、相続税専門の税理士が初回無料で相談を承っております。
遺言書の内容チェックから、相続税申告の作成、税務署対応まで一貫してサポート。
大切なご家族の想いを正しく形にするために、ぜひお気軽にご相談ください。
