あなたの意思を未来へ確実に繋ぐために
遺言書は、単なるメッセージではありません。
民法に定められた要件を満たして作成することで、故人の最終的な意思を法的に実現し、遺産分割協議よりも優先される、極めて重要な法的文書です。
しかし、遺言書に何でも書けば法的な効力を持つわけではありません。
効力が認められるのは、法律で定められた
特定の事項(法定遺言事項)に限定されます。
ここでは、遺言書を通じて実現可能な8つの具体的な法的効力をご紹介します。
1.自由に相続分を決める
法律で定められた相続割合(法定相続分)とは異なる割合で、各相続人が受け取る遺産の配分を指定できます。
特定の相続人に多くの財産を遺したい場合など、
ご自身の意思を反映させることが可能です。
2.特定の相続人を排除する
被相続人に対して著しい虐待や重大な侮辱があった場合など、極めて限定的な状況において、
特定の相続人から相続権を法的に剥奪する意思表示(相続人の廃除)ができます。
法的に廃除された相続人は、遺留分侵害額請求を
おこなう権利も失います。
3.遺産分割方法の指定と分割の禁止を決定する
単に割合を指定するだけでなく、
「どの財産(自宅不動産、預貯金など)を誰に相続させるか」という具体的な遺産分割の方法を指定できます。
これにより、相続人同士の話し合いの手間を省き、争いを未然に防ぐことが期待できます。
また、最長5年間、遺産の分割を禁止することも決定できます。
4.相続人以外の人や団体に遺贈する
法定相続人ではない方(例:内縁の配偶者、友人)や、社会貢献活動をおこなう法人などに対し、財産を譲り渡すこと(遺贈)が可能です。
内縁の配偶者は法律上相続人になれないため、
遺言書で意思を明らかにする必要があります。
5. 子どもを認知する
婚姻関係にない女性との間に生まれた子ども
(非嫡出子)を、自身の法律上の子として認める「認知」の意思表示ができます。
これにより、認知された子は法定相続人として遺産を相続する権利を得ます。
6.未成年後見人を指定する
自身が亡くなった後、未成年の子どもに親権者がいなくなる場合、子どもの世話や財産の管理をおこなう「未成年後見人」を指定できます。
さらに、後見人の職務を監督する
「未成年後見監督人」を併せて指定することも可能です。
7.担保責任の負担者や負担割合を指定する
相続によって引き継いだ財産に欠陥などが発覚した場合に生じる担保責任について、誰がどの程度の割合で負担するかをあらかじめ指定し、相続開始後のトラブルを防ぐことができます。
8. 遺言執行者を指定する
遺言の内容(不動産の名義変更、預貯金の分配など)をスムーズかつ確実に実行するために、
遺言執行者(責任と権限を持つ人)を指定できます。
遺言執行者がいれば、相続開始後の手続きが円滑に進み、相続人全員が協力する手間や争いを軽減できます。
法的効力のない事項と遺言書作成の注意点
上記8つの事項は法的な効力を持ちますが、遺言書に記載した全ての事柄に効力が生じるわけではありません。
例えば、「家族への思いや希望」「葬儀の希望」
「法定遺言事項以外の想い」といった付言事項には法的な効力はありません。
また、遺留分(法定相続人に保障された最低限の取り分)を侵害する内容を記載しても、その侵害額の金銭支払いを求める「遺留分侵害額請求」を無効にすることは原則としてできません。
遺言書は、方式の不備や遺言能力の欠如などにより、無効と判断されるリスクがあります。
特に自筆証書遺言は厳格なルールがあるため、
確実に意思を実現するためには、相続問題に詳しい弁護士に相談し、内容と形式の両方で不備のない
遺言書を作成することが最善の策といえます。
